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2000年4月〜6月分
4月26日 日本国宝展・歌舞伎座鏡獅子 5月3日 ゴールデンウィーク 5月19日 勘九郎親子テレビ
5月22日 歌舞伎座源氏物語三幕目・夜の部 6月4日 伝統の工芸展 6月9日 歌舞伎座昼の部
6月11日 葵徳川三代展 6月16日 歌舞伎座夜の部 6月18日 国立劇場歌舞伎鑑賞教室
6月20日 菊音会講習会 6月25日 歌舞伎座子供歌舞伎教室・昼の部
2000年 6月25日
子供歌舞伎教室へ行ってきました。久しぶりに朝早く起きました。学校へ行くよりも会社へ行くよりも早かったです(笑)8時半過ぎに歌舞伎座へ着いて、受付をしたところナント1階席の方へ行くように言われました。内心「えっ?!一階席に座れるの?」って感じでした。てっきり三階席あたりだろうと思っていました。「補助席になるかも」と言われていたので一番後ろの席だろうと思って中へ入って席を案内されると、一等席の通路の所の補助席でした。
普段一階で見る事など無い私は、滅多に座れない所なのでウキウキしていました。「補助席でも何でもいいわ!ラッキー!」と思って座っていたら、係りの方が「前の方の席が空きましたのでどうぞ」と言われてついて行ってみると、これまたビックリ!!ナントナント、前から7列目の席ではありませんか!!舞台が近ーい!!「きっともう一生座る事の無い席だわ」と思いながら開演を待ちました(笑)
演目は歌舞伎座で今月やっている「道行恋苧環」です。お三輪が中村芝喜松丈、求女が松本錦弥丈、橘姫が中村芝のぶ丈でした。夜の部ではそれぞれ芝翫丈、團十郎丈、鴈治郎丈が演じていらっしゃるのでどのお役も大役です。中学生が対象の舞台だったので、最初に少し歌舞伎について説明がありました。花道や所作板、黒御簾、床の説明の後、舞台中央に置いてあった大太鼓で風の音、雪の音、波の音、川の音、お化けの音の説明をして一旦定式幕が引かれました。
道行が始まる前に一分前の柝の音が始まると客席がシ〜ンとしてしまい、「まだ始まらないのに‥」と思いながらも、「きっと学校の先生に散々うるさく注意されてきたんだね〜」と妙にお行儀の良い子供達に笑ってしまいました。そして、静かな状態のまま竹本が始まりました。さすがに舞台に近い所に座っているだけあって臨場感が全然違います!!三階席にいるときは全体の音が固まりで聞こえてくるのに、三味線の音一つ一つ、義太夫の声一人一人がハッキリクッキリ別々の音として聞こえてきます。
浅葱幕が振り落とされ、橘姫こと芝のぶ丈と求女こと錦弥丈の舞踊が始まりました。夜の部と違って大向こうさんはいらっしゃいません。何の反応も無いまま舞台が進んでいきます。ちょっと違和感がありますが、小心者の私は大向こうになることも出来ず、「だれか声掛けてくれないかな〜」と他力本願でした(笑)
芝のぶ丈も錦弥丈も緊張していらっしゃって顔が強張っていました。舞台に近い所に座った為、芝のぶ丈の息遣いもバッチリ見えます。竹本や三味線の音に合わせようとしていらっしゃるからなのか、息を吸ったり吐いたりするタイミングが三味線のテンポと同じでした。お二人ともたくさんお稽古されたのだろうなと感じました。
そしてお三輪こと芝喜松丈が入ってきました。見た方は私と同じコトを思った方も結構いらっしゃると思うのですが、芝喜松丈は芝翫丈にソックリです!!ビックリしました。芝喜松丈も緊張されているらしく、最初は手が震えていらっしゃるように見えました。あと、すごく残念だったのが、芝喜松丈の白い糸巻きが途中から突然回らなくなってしまったことです。いっしょうけんめい回そうとしていらっしゃったのですがとうとう最後まで回りませんでした。
夜の部を見ていた時は、どうして同じ動きをしているのにお姫様と町娘の違いがハッキリ分かるのだろうと不思議に思っていたのですが、今日間近で舞台を見て、「もしかしたら同じ柔らかい動きをしていても、少し大きく動くと動きの移動距離が長くなり、同じテンポにするには速く動かさなければいけなくなるのでシャキシャキした動きに見えるのかな」と感じました。あと、お姫様は動きを止める時フワッと止めるけれど、町娘はいきなりピタッと止まるのも大きな違いかもしれません。
同じ月に同じ演目を別の役者さんがやるのを見るなんてまず無いことなので、とても良い経験になりました。「惚れ惚れするほど上手だった」とは言い難い舞台でしたが、初々しく上品な橘姫、育ちの良さが出ていた求女、若々しくひたむきさが出ていたお三輪だったと思います。
そしてそのまま昼の部も見てしまいました(笑)本当はそのまま真っ直ぐ帰らないまでも銀座でちょっとショッピングするぐらいのつもりだったのに、どうしても見たくなってしまい当日券を買いました。前に見たのは2週間前だったので演出が変わっているところがいろいろありました。今回は二度目なので、前と違うと思ったところだけ書いていこうと思います。
番町皿屋敷では、出演者の皆様それぞれがいろいろ工夫していらっしゃって、前と結構人物像などが変わっているような印象を受けました。大きく変わっているわけではないのですが、まず播間の伯母様真弓こと芝翫丈は、町奴とのやり取りで、前は最初から堂々としていて強い奥方の印象だったのですが、今回は全体的に腰が柔らかく、「どうしても喧嘩をするなら『私がお相手』」と『』を言う時にスッと体を張って奥方の芯の強さを一瞬で見せつけたという印象でした。
播間こと團十郎丈の表現も変化に富んでいるように感じました。「伯母様はニガテじゃ〜」と言う時も、「ホント、ホトホトまいっちゃってんだよナ〜」という感じがすごく出ていたと思います。そして、前よりもお菊に対するやさしさ、人間的な大らかさが強く出ていたし、前の時は疑われたという無念の思いの怒りの強さが前面に出ていたのに、今回は無念の思いで怒ってはいるけれど、悲しさ、やるせなさの方が前面に出ていたように思います。
お菊こと福助丈も前より心の変化が、より複雑になっているように感じました。播間が奥様をもらうかもしれないという話をしている時「うそじゃ、おもらいになるはず無いのじゃ!」というセリフも、前はお仙に対して強く否定して言っているようにも聞こえたのですが、今回はより内面に向かっているというか、自分自身の不安をかき消すように強く言っていて、心の中が揺れ動いている様子がハッキリと押し出されていると思いました。
疑いの念からお皿を割ってしまった時も、前は「割ってしまった」という思いからなのか、お皿から少し後ろへ下がって座り込んでしまって放心状態でいたのに、今回は割った姿勢のままで呆然としていました。そして、播間に言われてお皿を一枚ずつ差し出す時の様子も、前は一枚目の時は下を向いてうつむいているだけだったのに、今回は怖いからなのか悲しいからなのか、泣きながら差し出していました。二枚目を出す時も、前回はまだずっと下を向いたままだったのに、今回は播間の前に置く時に、「二枚」と言いながら播間の目を見始めて、三枚目を取り出した後はもう泣かなくなって、四枚目を取り出す時は晩間から全然目を離さずに、手で探ってお皿を出していました。
播間が四枚目を刀で割ってしまった後、がっくりとうなだれていました。そして、その後の殺されてしまうまでの様子でも、前よりももっと覚悟が出来ているという感じがしたし、殺されてしまうことが全然怖くないというかイヤじゃなくて、心が穏やかになってしまっているように感じました。
その舞台の様子を見ながら、『本当に播間が心底愛してくれていたことが分かって、心が満たされていて、ましてや自分が一番愛している人の手で殺されるからこそ「何の心残りも無く、恐れや不安も全然無い」という気持ちになったということなのかな‥。そんな気落ちに至ったお菊がちょっとうらやましいかも‥。』なんてぼんやり考えてしまいました。
イヤ、別に死にたいとか思ったわけではありませんので。念のため(笑) そんな風に思えるぐらいの人にめぐり合いたいものですね。
幕切れも、奴が喧嘩の知らせをしに来た後に、「恋を失って何して生きる!喧嘩三昧の始めじゃー!奴!行くぞー!」という感じのセリフ(細かい所は忘れてしまいました(笑))も、愛するものを自分の手で亡くしてしまった無念さ、やるせなさがすごく強く出ていて、ポッカリ空いてしまった心の穴を喧嘩でムリヤリ埋ようとする荒んでしまった哀れな人物像を強く印象付けたと思います。
大津絵道成寺も前見たときよりも鐘に対する執念、執着心がもっと強く出ていたと思ったし、船頭なんかもいなせな感じがかっこよかったと思います。ちょっとこれ以上は表現し難いのでいろいろ書けないのですが、すばらしかったと思います。
書いていると限が無いのでもうそろそろ終わりにしたいと思いますが、実は夜の部の義賢最期も幕見をしてしまいました(笑)演出の違いなどをちょっとだけ書くと、矢がたくさん飛んでくる場面で、前はそれでも仁左衛門丈より1mぐらいは離れた所に落ちてきていたのに、今日は舞台の真中までビュンビュン飛んできていました。最初すっごいビックリしたのですが、その代わり仁左衛門丈は一歩後ろへ下がって矢を避ける演技をしていらっしゃいました。
やっぱり舞台というのは生ものなので日々変化するのですね。どの演目も前見たときよりもさらにすばらしくなっていました。出来れば毎月同じ演目を2〜3回見ることが出来たらもっと深く理解したり、違いを楽しんだり出来るのに‥と思いました。来月も楽しみな演目ばかりなので、また何回も通うことになるのでしょう‥(笑)
2000年 6月20日
菊音会の講習会へ行ってきました。今日も暑い一日でした。早く家を出て、歌舞伎座の昼の部や夜の部の幕見をしようかと思っていたのですが、あまりの暑さにぐったりしてしまい調度良い時間にしか家を出られませんでした(笑)夕方家を出たのにそれでも暑くて、開場に着いた頃には汗だくでした。今週末の天気は曇りのち雨じゃなかったの〜?と当てにならない天気予報のぐちをブツブツ言いながら銀座の町を歩いてしまいました(笑)
会場に着いてみると頭が痛くなるぐらいクーラーがガンガンに効いていました。汗をかいていたので余計に寒く感じました。一応上着を持っていったのですが、上着も半袖だったのでこのまま2時間もこの状態だったら具合が悪くなるかも‥と思っていたら、同じコトを思った方がいらっしゃったらしく、すぐに温度調節をして下さいました。今日は暑かったので、最初に強めにかけた時のままだったのでしょうね。
今回は、唱歌という鳴物の音を表す楽譜の役割のコトバを実演を交えながらたくさん説明していらっしゃいました。司会は望月太左緑丈でした。まず太鼓・大鼓・小鼓・笛の着到の演奏をした後、同じコトを唱歌でそれぞれの楽器の演奏をした方々が口で合わせて、唱歌にするとどんな感じになるのか聞かせていただきました。これは「て〜ん〜て〜ん」とか「ひゃ〜り〜や〜り〜」とか「どん・どん」のようなコトバをそれぞれが一声に口ずさむので、結構笑える場面でした。
やっていらっしゃるみなさんも、かなり恥ずかしかったようで、司会の太左緑丈も「結構マヌケですね」なんておっしゃっていました(笑)その後、それぞれの楽器によって唱歌がどのように違うのか説明が続きました。先ず最初に太鼓の唱歌が説明されました。「締め太鼓」とおっしゃっていました。太鼓の場合は、「天」と書いて「テン」と読みます。「天天」となったときは、普通のテンポで“ポンポン”と叩きます。普通のテンポの約2倍の遅さで叩く時は「てーんーてーんー」と言うそうです。逆に速く叩くのを表すときは「テケテケ」と言うそうです。
次は笛の説明でした。笛の場合は音程を言うのではなく「ヒャーリーヤーリーヤーリーヤ」と表すそうです。笛の場合はテンポが太鼓と同じなので太鼓の方は笛の音を聞きながら叩くそうです。その次は大鼓と小鼓の説明でした。この二つは対になって演奏するので、一緒に説明されました。この二つは「チリカラ」といって、「井」と書きます。「井」一つで「チリカラ」と読むそうです。「チリ」の部分は「小鼓」、「カラ」の部分は「大鼓」を打ちます。
もし、「チリカラ」を2回続ける時は「チリカラチリトト」と言って。「井」の字の縦線が4本になって、「井井」←これの横線がつながった状態で表します。倍の遅さで表すときは「チョチョタタ」と言って、 「〒」←これにもう1本縦棒を横に書いて「元」の字の跳ねない形で表します。他にも「×」や「○」でも表します。「亥」の字を崩したような一文字で長いフレーズを表したりもするそうです。(すみません。どんなフレーズか忘れちゃいました)
それぞれのフレーズを表す記号が書いてある紙がたくさん用意されて、観客が適当に順番を決めて並べた通りに大鼓と小鼓がその場で演奏をしました。2回行われたのですが、舞台上にいた他の方々が、「これじゃあ面白くないから、ここをこうして、こっちにこれを入れて‥」とかなり手直し(?)をされてしまい、大鼓と小鼓のお二人は「オイオイ‥」という感じで後ろを向いて相談をされていました。
お二人とも演奏される前は一瞬不安そうな顔をしていらっしゃいましたが、演奏はバッチリ決まっていらっしゃいました。さすがです!!バッチリ決まって演奏が終わった時には客席からも舞台上からも拍手がわきあがり、太左緑丈も「すばらしい!」とおっしゃっていました。
休憩をはさんで、体験コーナーが始まりました。それぞれの楽器ごとに練習をして、大太鼓、太鼓のグループが一緒に演奏して、次に小鼓を習った人達が演奏をしました。みなさんとても丁寧に教えていらっしゃって、太左緑丈が思わず「いいな〜。こんなに丁寧に教えてもらえるなんて‥」と言ったらみんな大爆笑!「そうだよね〜。こんな風に教えてもらったことなんて無いもん。見て覚えろ。だもんね〜」とみなさん口々におっしゃっていました(笑)
体験コーナーが終わり、そろそろ終わりの時間が近づいてきた時に、演奏者全員の名前の紹介をされました。その時の並び順がパンフレットの名前の順番とほぼ同じだったのにはちょっと笑ってしまいました。あれだけ大勢の人があちこち動いていたのに、みなさん立ち位置まで決めていらっしゃったのでしょうか??(笑)
客席は150人程の小さな所だったので、舞台と客席の壁が無くてとてもアットホームな印象でした。「講習会」とあったので、もっと“習う”感じになるのかと思っていたのですが、全然そんなことは無く、“知り合いの人に気軽にいろいろ聞いてみた”という感じでした。太左緑丈のボケっぷりも面白かったし、その横で太左久丈がいろいろ突っ込んだりして、始終笑いの絶えない公演となりました。
全然知らないことばかりだったのですが、丁寧に分かりやすく解説をしてくださったので、初心者の私でも無理なく理解できました。小鼓を打ってみたかったのですが小心者の私は舞台に上がることが出来ませんでした(笑)。でも、今度からは歌舞伎を見るときの楽しみ方がまた一つ増えました。とても楽しかったし、勉強になりました。8月の末に公演も予定していらっしゃるそうなので、そちらにもぜひ行こうと思っています。
2000年 6月18日
国立劇場でやっている「歌舞伎鑑賞教室」へ行ってきました。2時開演だと思って1時半過ぎに行ったら、2時半開演でした。平日は学生が多く、結構うるさいと聞いていて、劇場へ問い合わせたときも、受付の方が「土曜日も学生が多いので一般の方は日曜日をお勧めしています」とおっしゃっていたので、日曜日に出かけることになったのです。
劇場内へ入って見回してみると、学生はほとんどいませんでした。国立劇場は歌舞伎座よりも客席数が少なく、一番後ろに座っても花道がかろうじて見られるぐらい舞台と近い感じがしました。結構席が空いているらしいと言うウワサはウソでした(笑)ほとんど空席が無く、一番後ろのほうに少し空席があるくらいでした。よく晴れた日曜日だったので皆さんお出かけになったからなのでしょうか‥?
最初に歌舞伎の見方の解説が行われました。会場内が真っ暗になり、舞台上だけが明るく照らされ、廻り舞台が回りながら大ゼリ小ゼリが上がったり下がったりした後、ドロドロと太鼓が鳴ってスッポンから亀寿丈が出てきました。舞台上の黒御簾や廻り舞台、セリの説明などの後、ツケにの説明、小道具の説明などのお話が続き、説明された小道具を使った10分程のお芝居が演じられました。
お芝居の中で行われただんまりや、小道具の説明などをされて、解説は終わりました。解説の途中で寸劇のようなことが行われている時に、飛脚の役の方がセリフを忘れてしまって「う〜、う〜‥」とかなり困っていらっしゃいました(笑)ふとした弾みにセリフが出てこなくなってしまったのでしょうね。亀寿丈はすっきりとした爽やかな好青年という感じでした。「カッコイイじゃな〜い!!」というのが率直な感想です(笑)(すみません。ミーハーで(笑))
休憩の後、恋飛脚大和往来が始まりました。上方歌舞伎の演目です。廓の遊女梅川こと愛之助丈と飛脚問屋の養子忠兵衛こと扇雀丈は深い馴染みです。忠兵衛の見受けのお金が揃うのを梅川は心待ちにしています。しかし、嫌われ者の八右衛門こと松助丈が自分が身請けをしたいとやって来ます。茶屋の女主人おえんこと竹三郎丈も梅川のお抱え主の治右衛門こと秀調丈も、忠兵衛に身請けをさせたいと思っていますが、八右衛門は金にものを言わせ、ウソを織り交ぜてさんざん忠兵衛の悪口を言ってバカにします。
その話を奥で聞いていた忠兵衛がガマンできずに八右衛門に詰め寄り、「金はある」と見栄を張ってしまいます。言い争っているうちに、八右衛門の挑発に乗らずにはいられなくなり、懐に持っている公金の封印を切ってしまいます。忠兵衛はその場でお金を治右衛門に渡し、身請けの手続きをします。何も知らないおえん、治右衛門は梅川と忠兵衛を祝福し、梅川も無邪気に喜びますが、忠兵衛の心はそれどころではありません。
公金を使ってしまえば死罪は確実です。みなが身請けの準備の為にいなくなると、忠兵衛は梅川に真相を打ち明け、「いっしょに死んでくれ」と言います。梅川は驚きますが、自分のために命をなげうってくれたことに感謝し、「礼を言うて死にます‥」と返事をします。人々が戻ってきて祝福の言葉で送り出しますが、二人は死への旅立ちの悲しみを堪え、平静を装いながら茶屋をあとにします。
最後は悲劇となりますが、それまではとても楽しいお話でした。上方の二枚目というのは三枚目も兼ね備えていて、「どこか滑稽な印象を持ちながらも皆に愛される色男」という役どころです。扇雀丈は女形をやっていらっしゃるだけあって、ナヨナヨした感じが滑稽さを強調していたと思います。上方歌舞伎のあの“間”というか雰囲気は独自の物があります。上方役者以外の人はなかなか出せない独自の世界ではないでしょうか。本当にすばらしかったです。それにしてもお化粧をするとお父様の鴈治郎丈にソックリ!!普段は女形でいらっしゃいますが、これからは立役も見てみたいと思いました。
愛之助丈を見るのは初めてだったのでとても楽しみにしていました。お写真を拝見するよりも、実物の方がずっと素敵だと思いました。すっきりした顔立ちでいらっしゃるので、「舞台栄えするな〜」と思いました。もっと近くで見たかったです(笑)竹三郎丈のおえんもすばらしかったです。「気立てが良くて切り盛り上手」という印象でした。秀調丈も「男気のある旦那」という感じで貫禄がありました。松助丈は嫌われ役を憎々しげに演じていらっしゃいました。あの憎々しさがあったからこそ最後のクライマックスが際立ったのだと思います。
普段の観劇よりも短くてあっという間に終わってしまったという印象ですが、楽しかったです。上方歌舞伎って楽しいです!!二枚目なのに気取ってなくて、おどけてみたり情けないコトを言ってみたりと随所に笑いがちりばめられていて、荒事のヒーローとは違った身近な存在の色男を堪能しました。
2000年 6月16日
歌舞伎座夜の部を見に行ってきました。先週は嵐のような天気だったのに、今日はすっきりと晴れて良いお天気でした。そのおかげで真夏のような日差しと、じっとしていても汗がにじむような気温でした(笑)
ちょうど気温が一番高いときに家を出なければならず、すっかり夏の陽気に「今年の夏はきっと猛暑になるのね」と思いながら歩いていました。でも、湿度が低かったのか、割りあいさっぱりとした暑さだったと思います。
歌舞伎座へ入ってみると先週の昼の部よりも客席が埋まっていました。三階席もほとんど空席がありません。昼の部のB席が売切れだったことを思い出し、「もしかして、今日は昼・夜通す人がたくさんいるのかな?」なんて考えてしまいました。私の両隣は5〜60代のおじ様でした。こんなことは初めてです(笑)
義賢最期は迫力がありました。この演目は立廻りがとても危険ということでなかなか上演されないそうです。ホントにキケンです(笑)ちょっと複雑な内容なので、お話の内容は横においといて、印象的な場面をピックアップします。何はさておき、義賢こと仁左衛門丈の迫力に圧倒されました。大向こうさんが、「でっけえ!」と声を掛けていらっしゃいましたが、まさにその通りで、「でっかく」なければ勤まらないお役です。
源氏方を根絶やしにしようとする平家方の敵がやって来ると、討死覚悟の義賢こと仁左衛門丈が大立ち回りを演じられます。たくさんの軍兵に囲まれて、戸板倒し(これもキケン)をされ、形としては | ̄|←こういう状態の上に乗って、 \ ̄\←こんな風にバッタンと乗ったまま戸板を組み合わせた物といっしょに倒れ落ちます。トランプのピラミッドを作るのと同じで、三枚の板がちょっとでもバランスが崩れたらうまくいきません。その上、上に乗った時に見得も切られるのです!!
板を組み立てて支えていらっしゃるカラミの方々も緊張されているのが伝わってきました。上に乗って見得を切った後、周りを支えていた方々が離れて、一人の方が支えていましたが、その方がパッと手を離してそのままバッターン!!と倒れ落ちました。見ている私も“手に汗握る”という気持ちでした。
その後上手、下手両側から中央にいる仁左衛門丈に向かってたくさんの“矢”(たぶん50本以上はあったはず)が飛んできて、これも「キケンだ〜!」と思いながら見ていました。
最後に死んでしまう場面では、中央に五段ぐらいある階段の前で「仏倒し」で全面にバッタリと倒れ、そのままズルズル〜と階段を滑り落ちて行きます。これも倒れる場所が少しでもズレてしまえば怪我をするようなキケンな演出でした。
この演目は心臓に良くないです(笑)見ていてハラハラ・ドキドキの連続でした。「壮絶な死を遂げた」という言葉がピッタリの幕切れでしたが、これが毎日続いていたのかと思うと、千秋楽まで怪我をされないようにとお祈りせずにはいられません。
道行は打って変わってセリフが全然無い“女の恋争い”で、文楽からとってきたお話です。こちらはさっきの演目とは違い、“ハラハラ・ドキドキ”というのは全然無くて、思わず笑ってしまうようなお話でした。もともとは「苧環伝説」という話から“苧環=糸巻き”をもってきた話です。伝説の内容は、「夜だけ通ってくる男の正体が知りたくて着物の裾へ糸を結びつけてどこへ帰っていくのか確かめたら、大物主神=大蛇だったことが分かる」という話です。
お姫様と酒屋の娘が帽子職人を取り合う“女の恋の戦い”が繰り広げられます。求女こと團十郎丈は帽子職人にやつしているけれども実は帝を守ろうとする武士の嫡男。橘姫こと鴈治郎丈は帝の命を狙う公家の者の妹。橘姫には全く悪意は無いけれど、うまいこと利用して帝を助けようとする求女。そこへ何も事情を知らない酒屋の娘お三輪こと芝翫丈が二人の仲を引き裂こうとやっきになって入ってきます。
今まで求女と橘姫だけが舞台上にいた時はゆったりした上品な感じだったのに、お三輪が入ってきた途端優雅な雰囲気はどこへやら、橘姫とお三輪の恋のバトルが繰り広げられました。芝翫丈が最高です!!舞台に入ってきた途端ピシッと舞台全体が締まる感じがしました。三人で踊る総踊りの時も、同じように手や首、体を動かしていても、身分によってこうも印象の違う動きが出来るのかと感動しました。
鴈治郎丈はあくまでもお姫様の優雅な動き、團十郎丈は身をやつしてはいるが武家の優雅な動きであるのに対して、芝翫丈は商売屋の娘としてシャキシャキした動き、ストレートに感情を出す振る舞いが対照的な舞台でした。
八幡祭小望月賑はそれぞれの事情が絡み合った恋のもつれによる悲劇のお話です。望月とは満月のことで8月15日です。小望月とは満月の前の日のことで8月14日のお話です。深川一番の芸者の危機を何度か救った商人が「将来一緒になってくれ」と約束を取り付けたものの、芸者にはもともと心に決めていた色男の浪人がいました。しかし、浪人が分け合って「縁を切る」と突然愛想尽かしをしたことから自棄になってしまった芸者が商人をつっけんどんにあしらい、愛想尽かしをする。納得のいかない商人ですが、商人仲間にまで「面汚し」呼ばわりされ、自暴自棄になった商人がひょんなことからいわくつきの刀を手に入れ、正気を無くしてしまっていた商人が次々と人を殺め、ついには芸者も殺めてしまう。しかし、その芸者は生き別れになった妹だった‥という世話物の悲劇です。
深川一番の芸者こと福助丈は江戸っ子らしく気風のいい所もあるし、“しな”を作って男に寄り添う色気も持ち合わせていて、まさに自分は売りものだけれどだれにも媚びない表と裏を使い分ける粋な芸者です。縮屋商人の新助こと幸四郎丈は田舎くさくてちょっと情けないけれど、気持ちが真っ直ぐな男です。その真っ直ぐさが後に悲劇を招いてしまうんですけどね。
昼の部でも幸四郎丈はちょっと情けない役をやっていらっしゃいましたが、夜の部もとてもハマッていらっしゃいました。福助丈の美代吉も最初は手古舞姿で気風の良い所を見せた後、浪人の翫雀丈と二人になったときは「しな〜」っと色気を前面に出していて、その変貌の大きさに客席も笑いが起きていました。福助丈の芸者は“深川一”というのもうなずけるようなすばらしい芸者っぷりでした。芸者姿に着替えて出てこられたときは、客席からも「綺麗、色っぽい」という感じでざわめきが起きていました。見ているうちに、福助丈はなんとなく雰囲気が玉三郎丈に似ているような気がしました。
花屋の女房のおつゆこと秀太郎丈もハマッていてすばらしかったです。さすがに芸者達を取り仕切って、お客にもにらみをきかせている“酸いも甘いも知り尽くした貫禄”がありました。目に留まったのは、船頭の長次こと亀蔵丈です。たくさんの人がいる中で、立場の低い役どころだからなのか、いつもチョコンと手足を揃えてはじっこに申し訳なさげに小さく座っているのが面白かったです。荷持の作助こと弥十郎丈もいい味を出していらっしゃいました。田舎者丸出しですが素朴で、新助のことを本当に慕っているんだなと思いました。
先週の昼の部と同様夜の部も変化に富んだ演目でした。義理、人情、男の意地を見せつけた源平、女同士の火花バチバチの恋争いの道行、粋と野暮が交差する深川という街だからこそ起きてしまった悲劇の八幡祭、どれをとってもすばらしい演目でした!!
両隣をおじ様にはさまれ、しかも一人は大向こうさんという初めての経験をしたり、NHKのアナウンサーの方を道でお見掛けしたり、欲しかった本が手に入ったり、今日は劇場に入る前も入ってからも緊張するようなことが結構あって、家に着いてからも少しボンヤリしてしまうぐらい中身の濃い一日でした。
2000年 6月11日
今日は予定には無かったのに突然江戸東京博物館へ行くことになりました。「葵・徳川三代展」を見に行きました。最終日ということもあってとにかく混雑していました。そんなに大きな場所でもないのに、人が二重三重にもなっていて、見るのも一苦労でした。
展示品としてはそんなにたくさんあるわけではないのですが、直筆の書とか、縁の品などがありました。ほとんどが書で、あとは人物画、掛け軸、襖、衣類、ほんのすこしだけ小物もありました。歴史を詳しく知っていれば、もっと楽しかったり、興味深い物だったりするのかもしれませんが、テレビを見ているだけの知識の無い私には、それほど「すご〜い!」というものではありませんでした。
実際に使っていた刀や鎧、重箱、お弁当箱などもあり、興味のある人などは、なかなか見れない物ばかりなので面白いのではないでしょうか。さすがに刀や重箱はお殿様が使う品なのですばらしい物というのが素人の私にも分かりました。
主催の中にNHKもあるのだから、もっとおもしろい企画になっているのかと思ったのですが、期待していたほどの物ではなかったように感じました。3時間ぐらいしか寝ていないのにムリヤリ起こされた私の貴重な睡眠時間を返して〜!!(笑)
家に帰ってからヘタに寝てしまうと夜眠れなくなるので、起きていたのですが、ここ3〜4日はずっと3時間ぐらいしか寝ていなかったので、夜になったらあまりにも眠すぎて気持ち悪くなってしまいました(笑)睡眠不足は体に毒だなと身を持って体験しました(笑)
2000年 6月9日
今日は歌舞伎座へ昼の部を見に行ってきました。それにしても風がすごかった‥。台風が来たのかと思っちゃいましたよ〜。朝は一応セットしたはずなのに、家を出てから歌舞伎座へ着くまでに髪の毛はボロボロ状態‥。朝の努力が全く無駄になりました(笑)
10:30に歌舞伎座へ着いて、先月の客層とは全く違う(笑)いつも通りのおば様達の渦の中に、数少ない若い人(ホントか?)として紛れながら席へつきました。今日はいつも以上に若い人が少ないような気がします。イヤホンガイドの準備をしたりして席に着いても、私の席から後ろは全然人がいないので、「売れている席も結構あったはずなのにおかしいな」と思いつつ開演を待ちました。
一幕目は「番町皿屋敷」。井戸から女の声で「いちま〜い、にま〜い、さんま〜い‥ シクシクシク‥」という怪談話をもとにした、新歌舞伎で、旗本の一人息子青山播磨こと團十郎丈と腰元のお菊こと福助丈は密かに暖めていた「身分違いの恋」による心の行き違いから起こる悲劇の物語です。
お話の内容 ・ バーチャル劇場版(笑)
幕が開く。季節は春。桜が満開。町奴達が花見の後、茶屋で一休みしている。そこへ播磨こと團十郎丈が供(旗本奴)を連れて石段を下りてくる。團十郎丈が「桜もよう咲いたなぁ〜」と言うと、お供の奴が「まるで作り物のようでございます」(場内爆笑)と言いながら茶屋の長椅子へ腰をおろす。先ほどからいた町奴がわざと茶店娘が持ってきた自分のお茶を、お供の旗本奴に引っ掛ける。それをキッカケにして町奴と旗本奴の喧嘩が始まってしまう。(ここらへんは火事と喧嘩は江戸の華ってことばがピッタリな感じの始まり方です)
そこへ渋川後室真弓こと芝翫丈がヨンマイガタ(すみません。ちょっと漢字が‥)の紫色の籠に乗ってやってくる。(播磨の伯母様であり、日頃から播磨も頭が上がらない人)大家の奥方の貫禄で、喧嘩を止めさせた後、播磨に以前から話のある縁談の返事を迫り、「喧嘩三昧の毎日で、いい年になっても妻も持たないなんて‥」とお小言を一通り言って立ち去る。伯母様がいなくなった後、播磨は「伯母様はニガテじゃ〜」(アハハハハ‥いるよね、こういう愛はあるんだけど遠慮なく耳の痛いこともズケズケ言うタイプの人って)とヘキヘキした様子。
暗転(一瞬源氏物語を思い出してしまいました(笑))
播磨の屋敷。腰元のお仙こと萬次郎丈、お菊こと福助丈(薄紫の衣装に菊の花散らしの模様)、柴田十太夫こと吉弥丈が今日使う家宝の高麗焼きの皿を蔵から持ってきて、一枚一枚割れていないか点検をする。吉弥丈が「くれぐれも粗相のないように。割ることはもとより、少しの傷でもつけようものなら首が飛ぶ」と口やかましく言った後(ホントやかましい‥(笑))他の用事でその場からいなくなる。後の残されたお仙とお菊は丁寧にお皿を確認している。ところがお菊はどこかぼんやりしていて、お仙が「どうしたの?」と話し掛けても上の空、と突然「播磨様に奥様が来るかもしれないというウワサは本当か?」と尋ねる。お仙は「そんな縁談話もあるらしい‥」と答えると、お菊は「そんなはずはないわ!」と強く否定する。お仙はわけが分からないまま先に確認が終わって、台所へ行ってしまう。
一人残されたお菊は播磨との身分違いの恋に悩んでいる。播磨には「信じて待っていろ」と言われているが、所詮自分は腰元で、他の人との結婚話がまとまっても何も出来ない。疑い始めてしまうときりがなく、信じられる確かな証拠が欲しいと考える。(誰でもこういうことってありますよね。口ではいくらでも言えるし‥とか考えるとどんどん悪い方へしか考えられなくなって悪循環から抜け出せないんですよね)丁度自分の手元には家宝のお皿がある。これを割ってみれば播磨の心が分かるのではないか、と躊躇しながらも一枚柱にぶつけて割ってしまう。(一瞬考え直して止めても、もう自棄になっていて、やってしまえ!と変な勢いがついてしまったのね‥)それをもの陰からお仙が見ていた。
お菊は自分が本当に割ってしまったことに呆然としている。そこへ十太夫が通りかかり、お皿が割れていることに気がつき仔細を聞いても(セリフが「あれほど言ったのにあーだのこーだの々々云々‥」とひっきりなしに言ってて思わず笑ってしまいました)お菊はただ黙っているばかり。そこへ播磨が帰ってくる。十太夫がことの次第を告げると播磨はお菊に「粗相であったのだな」と言い、割れてしまったお皿は井戸に捨てさせ、表向きは十枚揃っていることにする。十太夫を下がらせ、「大切に思っている人の粗相を咎めるはずがないだろう」とお菊に告げる。
播磨は、お菊に二人の仲のことをお菊の母に告げるように言い、「共に暮らすように連絡を取りなさい、例えそちの母が私達二人のことを反対したとしてもずっとここにいるか」とお菊に問い、幸せで有頂天になってしまうお菊。そこへ先ほど事の次第を見ていたお仙から事情を聞いた十太夫が戻ってきて、お菊が皿をわざと割ったので粗相ではないと申し立てます。播磨はお菊が正直に割ったことを認めたので、仔細を聞くために一旦十太夫を下がらせます。
播磨が「家宝と知りながら割ったのには訳があるはずだ」と自分の近くに来るようにお菊に言うと、お菊はフラフラしながら播磨へ近づいていき(本当に着物が揺れていて、立ち上がるためについた手もグラグラしていて、取り乱している様子がすっごくよく分かります)、「殿様のことが信じられずに‥」と播磨の心を試す為にわざとお皿を割ったことを話します。すると播磨は、「今まで遊びの誘いも断り、伯母様が持ってくる縁談の話も断り、お菊のことだけを真っ直ぐに考えてきた自分のことをそんなにも信じられなかったのか。そちの疑いが晴れようとも、疑われた自分の無念は晴れぬ」と激怒します。そこへお供の奴権次が駆け込んできて、「女がやってしまったことなので‥」と取り成そうとしますが聞き入れません。
お菊に手元にある残りのお皿を自分の前へ一枚ずつ出させ、刀の枝で、次々に割ってしまいます。播磨は「家宝のお皿を割ってしまったからといって人の命と引き換えにするわけではない。また、自分がお菊に対していつわりの恋をしていたならば殺しはしない。潔白な男のまことを疑った無念からだ。」とお菊に刀を振りかざします。お菊は自分の浅はかさを悔いて手を合わせています。権次が間に入って体を張って留めようとしますが、播磨はむりやりに権次を退かし、刀を振り下ろしてしまいます。
播磨は無念の思いを残しながらも、お菊の亡骸を井戸に沈めさせます。そこへ今日来る予定の客人たちが町奴に道を邪魔されていると知らせが入り、自暴自棄になっている播磨は心のやり場を喧嘩に求めるかのように旗本奴と町奴のいる現場へ駆け出していきます。
いや〜。心の痛むお話でございました‥。ちぃっとばかしくら〜いムードになってしまった‥。お菊ちゃ〜ん。。。私は自分が女なので(本当です(笑))お菊の気持ちはすっごくよく分かります。いくら信じてくれとか言われても、自分が大好きな人に縁談があって、でも身分の違う自分がとやかく言える立場でもないならなおさら不安にもなりますよね。
播磨の近くへ行くときも、すっごいフラフラ状態で、まともに立ち上がることも出来なくて、縁側に上がる為の石に乗せた足もグラグラ。一段上がるのもやっと‥という感じでした。播磨の前にお皿を一枚一枚出すときも、一枚目は恐れの気持ちが一番強くて、顔を伏せたまま、手もガタガタ震えて置くんだけど、置いた途端播磨が「バキ!」ってお皿を割っちゃって、お菊も権次もすっごいビックリ!。二枚目を置くときは、少し顔が上がって、「えっ!?何?どういうこと?」って感じでビクビクしながらなんだけどお皿を置くとまた「バキ!」。三枚目は播磨の目を見ながら前に置いて「バキ!」。四枚目は、何かすごく納得したような顔でジーっと見つめたままでした。
この演技に私はホレました!福助丈ってすごい、すご〜い!!!自分でわざとお皿を割っちゃった後の放心した演技もすっごく良かったし、恐れ、苦悩、疑心暗鬼、後悔、諦め、悟り(このコトバはちょっと当てはまらないかも‥)、など何を考えているのか心の内が手に取るように表現されていらっしゃいました。もう最高です!!
團十郎丈も今回初役とのことでしたが、おば様にお小言を言われているときの「あ〜もうやんなっちゃうな〜。口答えは出来ないし、カンベンしてくれよ〜」的な返事の仕方とか、すっごく可笑しかったし、お菊にやさしく話し掛けているときと、怒り爆発のときのあまりの迫力の違いにただただ圧倒されました。
芝翫丈の奥方も迫力がありました。ほんのちょっとしか出番のない役ですが、お菊と播磨の間に起きてしまうすれ違いのもとを理解するにはこの役がなければ意味がありません。少しのセリフでもどれだけ気高い方なのか、どれだけ播磨のことを案じているのかがすごく良く分かります。さすが!!の演技でした。吉弥丈の十太夫もすごく良かったです。同じ口やかましく言う役でも、こちらは迫力で押し切るというのではなく、「あーだのこーだの・・・・」とひっきりなしにいろいろ言うけど、どこか抜けていて人の良さがあって、真面目にあれこれ言っている姿がなぜか可笑しく見えてしまって、この演目の「息抜き」として味のある役でした。
休憩時間に「おそば」を食べました。予約をしていなかったので、もっと混雑していて入れないかと思っていたのですが、意外と空いていました。けっこう涼しかったので、温かいとろろそばを食べました。おいしかったです。
大津絵道成寺は鴈治郎丈が五役を早替りで演じていらっしゃいますが、5回替わるのではなく、もっとたくさんありました。まずはスッポンから黒と赤の衣装で藤娘で登場。二番目に鷹匠へ早替り、三番目に座頭へ早替り、スッポンへ消えて、四番目に藤色の藤娘で登場。五番目に船頭へ早替り、六番目に藤娘、引き抜きで一瞬にして別の印象の衣装に替わって踊られた後、鐘の中に入って七番目の大津絵の鬼になって登場。
鴈治郎丈は「一生懸命がんばっているというよりも、楽しげにやっているという感じにしたい」とおっしゃっていらっしゃったようです。まさにその通りだったと思います。女形、立役を一瞬にして演じ分けていらっしゃって、見た目も楽しく、早替りのたびに全然違う雰囲気を味わえてとっても良い舞台でした。女形もそうですが、立役もどこかしら“はんなり”としていて、やわらかさも持ち合わせた、キリッとした雰囲気でした。合間に出て来る唐子もとてもかわいらしく、中国風の衣装のかわいらしい子供をにぎやかに演じていらっしゃて、とても微笑ましい印象でした。
すし屋では、私は歌舞伎役者としての幸四郎丈を初めて見ました。前に吉右衛門丈は何度か見ていて、さすが兄弟なのでとても似ていらっしゃるなと感じました。最初は声とか雰囲気が私の吉右衛門丈のイメージとそっくりで、ビックリしました。でも、だんだん見ていくうちに、幸四郎丈の方がヒョウヒョウとした感じの役が似合うかも‥と思いました。
芝雀丈のお里もとても素敵でした。祝言をあげることがうれしくてうれしくて、浮かれちゃっているところとか、弥助こと秀太郎丈をなんとか床に誘うためにいろいろがんばっちゃってるところとか、もう!かわいい!って感じです。布団を奥で敷いている場面では、本当に敷いているわけではないのだけれど、敷いているように見えます!!私は三階から見ていたので、体をどう動かしているのかバッチリ見えたのですが、ただ体や手を上下にしているだけなのに、「敷布団を敷いて、枕を置いて、掛け布団を敷いて、整えて」と見えるんですよね〜。なんか不思議でした。
このお話はとっても悲しい結末を迎えて終わってしまうのですが、途中の権太こと幸四郎丈やお里こと芝雀丈の楽しい場面がドヨ〜ンと暗くなってしまうだけの悲劇にスパイスを効かせてメリハリのある展開になっていました。特に放蕩息子の権太が帰ってきたときのお里が、「兄さん、ビビビビビー!」(アッカンベー!!ってコト)と言ったのには笑いました。それに言われた方の権太も「な〜にが兄さんビビビビビーだ〜!」と全然懲りていない態度も笑ってしまいます。
昼の部は、悲劇的ラブロマンス、舞踊、義理人情の悲劇、と変化に富んだ内容でした。歌舞伎座を出てから四丁目へ出て、サンアイビルでお茶をしたのですが、ここで食べたケーキもおいしかった!!バナナが入ったチョコムースケーキとごまのケーキを食べました。久しぶりにおいしいケーキを食べました。今度はスコーンを食べてみようと思いました(食い意地張りすぎ??(笑))
2000年 6月4日
いよいよ六月になりました。もうすぐ東京も梅雨になります。私は髪の毛がチリチリになる季節なので、毎年この時期は朝になると「あ〜もう!!この髪の毛どうにかして!!」と鏡に向かって叫ぶ日々が続きます。いやになっちゃいますねぇ。ハァ〜‥
今日は思い立って、東京国立近代美術館工芸館へ所蔵作品による「伝統の工芸展」を見に行ってきました。
朝(といっても昼過ぎですが‥)起きた時はグダグダしていて、のんびりした休日を過ごそうと思っていたのですが結構今月は出かけられる日が限定されてしまうので、まだ間に合うかと思って3時近くに家を出ました。
3時半過ぎに工芸館に着き、行ってみてビックリ。なんと入館料がタダ(無料)だったのです。「なぜ???」と疑問に思いながらも「ラッキー!!」という思いの気持ちの方が強く、妙に機嫌が良くなってしまうゲンキンな私‥。無料な上に、入り口に置いてあるパンフレットは展示してあるほとんどの物が白黒ですが写真付きで、名前とともに作者名、作成年、品目(ガラス、漆工、陶磁など)、大きさまで書いてありました。これもタダ!!本当に太っ腹です!!(笑)
今回の展示は五つに分類して展示してありました。
一、対外的「伝統」
幕末の開国によって西洋文化と本格的に出会った工芸職人は、自分達の製作する器物を日本に固有の「伝統」工芸として意識しだし、その装飾や技巧をより増幅して西洋人の異国趣味に訴えかけたが、このタイプの「伝統」には、さまざまな様式が混在している。
二、回帰的「伝統」
関東大震災後の急速に都市化している生活環境の中で、工芸の原初に立ち戻ろうとする傾向が生じた。具体的には、古典への回帰ということである。
三、創作的「伝統」
昭和初期に古典に啓示を受けて、創作的な作品を生み出そうとする工芸家が現れた。
四、規範的「伝統」
昭和25年に制定された文化財保護法によって、伝統的な手仕事の保存が本格化した。現代生活の必需品ではなくても、過去の技術や様式を伝える工芸に、日本のナショナル・アイデンティティを認めようとする考え方が芽生え、地場産業に残っていた多くの職人的技芸が滅亡を免れた。
五、様式的「伝統」
今日の工芸展で発表される伝統的作品の多くがこのタイプである。色、形、材料、技法などのひとつひとつは、必ずしも古いままではないが、それらを組み合わせる造形的構成の中に、伝統的感性が投影されている。そうした造形的構成は、伝統様式として現代に継承されている。
これらを順番に見ていくようになっていました。
まず、対外的伝統ですが、これは「外国人から見た日本的なイメージ」に近いと思います。よく見れば伝統的手法を使っているのですが、日本というよりも中国っぽい印象でした。十二羽の鷹が金工で作られていて、どこにも留め具が無くて本当に棒に自分で止まっていていました。細か〜く羽の一枚一枚が立体的に作られていて本物のような迫力です。
回帰的伝統では、酒井田柿右衛門作の蓋付きの陶磁器があって、もともと柿右衛門が好きな私としてはこれを見れただけでも価値がありました。柿右衛門のあの赤の色とか柄のタッチがとても素敵だと思います。あと北大路魯山人の作品がありました。魯山人の作品を生で見るのは初めてです。緑の地に金の鳳凰の模様の煎茶碗と白地に赤と金の花の模様の蓋付きお碗でした。両方ともとても素敵でした。「ほしいな〜‥」と思わずつぶやいてしまった‥(笑)
創作的「伝統」では、節絹織着物の染織がベージュ色というかクリーム色が長四角にグラデーションのようになっていて、とてもきれいでした。彫漆銀連糸茶入の漆工では音丸耕堂氏の作品がありました。大学のときに授業を受けたことのある音丸先生のお父様の作品だと思います。先生は定年になって私が一年生のときしか授業が受けられませんでしたが、今はどうなさっていらっしゃるのでしょう‥。
規範的「伝統」では、青楓雉子香合の漆工が10センチ弱の小さな物なのですが、柄が5ミリぐらい盛り上がっていて、色も緑や赤がとても鮮やかできれいでした。その名の通り、雉(きじ)が楓(かえで)の木の下にいる風景なのですが、見れば見るほど大きく感じる作品でした。平結城蚊絣着尺の200通しの染織は、何がどうすごいのかよくわからず、近くにいた二人の叔母様方がとても感心していらっしゃったので、思わず「何がどうすごい作品なんでしょうか?」と質問したら、200通しというぐらいで絣(かすり)の反物の縦糸が200本あって、とても目が細かい物で、普通は100本ぐらいで作るので、「とても200本も通してある物は作れない」と丁寧に教えてくださいました。
様式的「伝統」では、帯留の金工がいくつかありました。蝉、茄子、梅、蘭、土筆とどれもとてもかわいい物でした。よく見てみると、作品も小さいからなのかもしれませんが、帯留を通す所がとても細かったです。見ながら自分の物でもないのに、「最近の帯留は昔に比べて5ミリぐらい太くなっているから使いにくいかも‥」なんて考えてしまいました(笑)
みなさんも機会があれば行ってみてください。7月16日までやっています。入館料も420円とお安いです!!(笑)作品はそれほど多くはありませんが、工芸品に興味のある方は、デパートの工芸展よりもゆったり見ることが出来て良いと思います。日曜日に行ったにもかかわらず、人はまばらにしかいませんでした(笑)じっくり見ても1時間ぐらいで見終わります。建物の周りが緑豊な公園になっているので、帰りに公園を散歩するのも楽しいと思います。
その後、歌舞伎座へ行き、チラシなどをもらって帰ってきました。今月は昼の部も夜の部も見る予定なので、危うく歌舞伎座ブラックホールの中に吸い込まれそうな自分をグッと堪えて(笑)近くにある奥村書店へ寄っただけでそのまま帰りました。奥村書店の方は何を聞いてもいつもとても丁寧に教えてくださいます。今日もインターネット話に花を咲かせて、結構長い時間話してしまいました(笑)5月に一度行きたかったのですが、都合がつかず引越しなどで一番古本が出回る時期を逃してしまいました。欲しいと思った本が無かったので入荷したら連絡を頂くようにずうずうしくもお願いしてしまいました。
歌舞伎座でもらってきたチラシの中に、玉三郎丈が九月にル・テアトル銀座で特別公演をされるというものがありました。藤娘の衣装を着ていらっしゃる見目麗しい玉三郎丈のお姿にクラクラしてしまいました(笑)舞踊と演奏もなさるようです。チケット発売は七月末なのでなんとか都合をつけて行きたいと思っています。
2000年 5月22日
今日の日記はか〜なり長〜〜〜い文章です。
全部読めばバーチャル観劇体験が出来るハズ‥(笑)
お時間がた〜〜っぷりある方はがんばって読んでみてくださいね(笑)
お話の内容については忘れてしまってあやふやな所がありますがお許しくださいませ。
今日はついに私の誕生日!!嬉しいやら悲しいやら‥(笑)
そんな一年で最も自分の為に使える一日を歌舞伎とともに過ごせるなんて、な〜んて私って幸せ者なんでしょ(How happy I am!ナ〜ンチャッテ)。こんなことは、もう二度と無いかもしれないので一人で一日中 “幸せ気分” に浸っておりました。でも、この計画を実行する為に結構忙しくて朝からあちこちと移動した一日でした。
まず、朝一番に免許の更新へ警察署に行きました。特に違反も無い私は(単にあんまり車に乗っていないだけなんですぅ‥)最寄の新宿警察署へ行けば良いのでラクチン!
行ってみると朝早いのに、そこにはすでに30人程の人がズラ〜リと並んでいました。(この後の予定のことを考えてちょっとあせってしまう私‥)前に来た時は2〜3人程度だったのに‥。
でも、思ったほどは待つことも無く、まあまあ順調に発行されました。ただねぇ‥、発行される時に警察署の方がいろいろ注意事項の説明をして下さるんですけど、その時に頂く安全運転自己診断とか安全運転のしおり、交通の教則、人にやさしい安全運転など、行くといつもたくさんもらってくるんですけど、これを真面目に見ている人がいったいどれだけいるんでしょう??(特に若い世代などは見もしないですぐに捨ててしまう気がしませんか?) それに、一人々々全員にこんなにたくさん配らなくても‥。この時代にあんなにしっかりとした紙で豪華に作った本をたくさん配らなくても、もっとコンパクトにまとめた本で十分だと思うのは私だけでしょうか‥。
そんなことを思いながら、今通っているコンピューター関係の学校へ(遅刻しそうで小走りになってしまった)急ぎました。今日は午前中の授業だけで終わりなので、そのまま銀座へ急ぎ、もしかしたら、二幕目も途中から入れるかも‥と思いながら東銀座へ到着。
とりあえず夜の部のチケットを買いに受け付けへ。行ってみてビックリ。三階B席は痕残り4席のみで昼の部につづいてこちらも大盛況!!どの席でもほぼ同じなので(一番後ろの席でした)受付の方が選んでくださった席を買いました。そして幕見の入り口へ急ぐと、80人程の人の山。もしかして幕見に並んでいるのかと思って内心ビクビクしながら行ってみると、新聞の招待券の為に並んでいる方々でした。
二幕目はもういっぱいで入れないので三幕目の為にそのまま中の階段で待つことに‥。まだ1時半だというのにすでに中では20人近くの方々が並んでいました。「ヒマ〜‥あと30分もあるのね〜」とか思いながら無言のまま、前の方に並んでいらっしゃるにぎやかな叔母様達の会話を聞きながら待つこと40分。どういう訳か二幕目がいつもより長かったらしく(何があったのでしょう?)2時10分過ぎにチケットの販売が始まりました。
私が来た後に6人ぐらい並んでいたのですが、その後丁度良いぐらいの時間に劇場に来た方々(全部で15人ぐらい)は中に入りきらないとのことで残念そうに帰っていかれました。劇場の方が、「一度見ていても、また見に来る方が今月は多いし、通常の歌舞伎ファンじゃない方もたくさんいらっしゃるので日に日に幕見席にすら入れない方々が増えている」と話していらっしゃいました。最初に「立ち見です。座れません。ご了承ください。」と言われていた私は入れただけでもラッキーなのかも‥
本当に今月はすごいことになっているのね‥と思いながら幕見席へ入っていくと、すでにたくさんの方々が立ち見状態。運良く中央ぐらいの位置の台の上に立つ場所を見つけた私は、そのまま壁に寄りかかりながら、「これ以上無いっていうぐらい舞台から一番遠い所だけど、真中で見れるのだからまあ良しとしよう‥」と思いながら待っていました。でも、劇場の中の一番上にいたからなのか、(一階では結構涼しくクーラーがかかっていたのに)蒸し暑かったです。丁度半袖を着ていたので良かったのですが、持って行った上着が結構邪魔でした。それと、どういうわけか外国人の方々が結構いらっしゃって、“もしかして国際的に話題になっているの!?”なんて思ってしまいました。
三幕目 私が見たところからの内容
天井の電気までも消えてしまい、場内真っ暗。舞台だけに明かりが燈る。季節は秋。夕顔につづいて葵上が亡くなってしまった。お月見の団子が飾ってある。源氏の君こと新之助丈の行方が全然分からないと心配している紫の上こと菊之助丈とお付きの人々。そこへ源氏の君が帰ってくる。紫の上は「美しいものはさらわれて売られてしまうと聞いているので心配していました。どちらへおいでだったのですか?」(あからさまに源氏の君の麗しさを言葉に出してしまう紫の上の幼さに思わず笑いが込みあがりました)と源氏の君へ駆け寄る。源氏の君は「しばらく見ないうちにまた背が伸びた。私がいない間にいろいろと配慮が出来るようになったなんて成長したのだね」と喜ぶ。(みんながすごく心配していたのにのんきにそんなこと言ってる状況じゃあなぁ〜い!!(笑))葵上のために四十九日の間お寺にこもっていたのだと分かり、一同ホッとして戻ってきたお祝いの席の準備のために源氏を残して一旦皆いなくなる。満月がゆっくりと上がり月の光の中、紫の上がそっと戻ってくる。源氏の君が「あなたがいないのはとても寂しいけれど、少しは慣れました。でもやっぱりさびしい‥」という意味の歌を読み、「あなたは私の大事な妻だ!」と紫の上を抱き寄せる。(クゥ〜!しょっぱなからいいシーンだ!!)
《 暗転 》 (いきなりまた真っ暗の世界になってしまいちょっと驚いた‥)
桐壺帝の家。桐壺帝こと団十郎丈、藤壺こと玉三郎丈、桐壺帝と藤壺の子供(源氏の密通の子)が楽しそうに庭で遊んでいる。(桐壺帝がメチャクチャ子供をかわいがっている。自分の子じゃないのを分かっているのにこの愛情!!心の広さがよく表れてるわ!)そこへ源氏の君、紫の上が入ってくる。初めて紫の上と藤壺が顔を合わせる。源氏の君が「私の妻です。」と二人に紹介。子供は「私、姉君が好き〜!」と駆け寄ってくる。(か〜わいいー!!)紫の上は「源氏の君が、何かと私をサポートしてくれるのでとても幸せです」と報告する。(ここで、源氏の君のことを「ご主人様」と言ってしまい、源氏の君に「主人と言いなさい」と注意される。まだ紫の上だって子供なのよね!(笑))桐壺帝が「今度の春、子供の袴義の儀に二人で舞を踊って欲しい」と頼み、二人は快く受ける。源氏の君は桐壺帝に「紫を大切にするのだぞ」と言われ、「大切に致しませいでか!」と(アッタリマエじゃない!!私以外の誰がいったい大事にするって言うんです?ってことよね)返事をし、桐壺帝が扇を取り出し仰ぎながら「あてられてしまったなぁ‥」と、幸せいっぱいの場面。
《 暗転 》
右大臣の家。右大臣の娘(だと思う)がさかんに源氏の君をおとしめようとうらみごと(いやみ)を言いながら右大臣と画策をめぐらす。
《 暗転 》
桜が満開。舞台上に踊り舞台があり、桜色の衣装を着た源氏の君と温かみのあるオレンジ色の衣装を着た紫の上が桐壺帝の息子のために袴義の儀の為の舞を舞う。その美しさに、客席からどよめきが‥(本当にきれいで、まるで夢の中にいるようです)
《 暗転 》
お経の声が劇場内に響く。(真っ暗な状態でいきなり聞こえてくるのでちょっとコワイ‥)桐壺帝の崩御。花道から20人程のお坊さんが舞台下手へお経を唱えながら通り過ぎてゆく。舞台中央奥からカーテン状態の幕が左右に開くと藤壺が白っぽい衣装を着て出て来る。ゆっくりと一回りすると髪の毛が短くなっており出家したことが分かる。(この演技だけで藤壺がどれだけの思いだったか、これからの自分の人生を毅然とした態度で決めたことがすっごくよく分かります)そのままゆっくりと奥へ戻っていくと、源氏の君が花道から七三まで駆け寄ってきて「中宮様ーー!!!」と心の中で密かに一番愛している藤壺が自分の手の届かない所へ何の相談もなしに決めてしまった悲しみを叫ぶ。(でもどうすることも出来ないのね‥。舞台上にいる藤壺に近づきたくても近づけ無い‥その悲しみが私にもひしひしと伝わってきました)
《 暗転 》
一年後。元旦。右大臣の家。またまた悪巧みを考えている二人。そこへ頭中将こと辰之助丈が入ってきて、「自分の体調が悪いので代わりの職務を源氏の君に頼もうと思う」という左大臣からの言付けを伝えると、右大臣は「源氏などにやらせずに自分がやれば良いではないか、自分の娘の婿でもあるからおまえの将来の身を案じているのだ」とかなんとかうまく言いくるめながらかなり強くけし掛ける。うまく言いくるめられている頭中将が「そこまで自分のことを考えてくださっているなんて‥」と感謝する。(オイオイ!ほだされてる場合じゃぁないよ!!(笑))
《 暗転 》
右大臣とその娘(だと思う)がどうしたら源氏を失脚させることが出来るのかあれこれ話している所へ源氏が入ってくる。源氏の君は「父も死んでしまったし、これからは静かに暮らそうと思うのですべての職を辞したい」と申し出る。右大臣は「しめしめ、自分の手を汚さずにことが運んだ」という感じで表面上は残念そうに申し出を受ける。(しかし右大臣の娘!悪巧みもすごいけど、いい味出してる!!)
《 暗転 》
藤壺が尼となって住んでいる家。藤壺は「私達が犯してしまった罪で何よりも大切なあなたに災難が降りかかることが無いように仏に許しをこうつもりで桐壺帝が亡くなった後に尼になると決めたのです」と密通した後初めて自分の気持ちを正直に伝える。源氏の君は「こんなに嬉しいことは無い!私は今、朱雀の帝(本当は源氏の君と藤壺の子だが、桐壺の子供)への謀反の疑いが持たれているので、濡れ衣を着せられる前に自ら須磨へ下がることにしたのです。そのために今日はあなたに呼んで頂かなくても来るつもりでした。でも、なぜ今ごろになって‥ どうしてもっと早くにおっしゃって下さらなかったのですか!」と、お互いの心がわかったものの、悲しい身の上を嘆く二人‥。そして、藤壺が持っている数珠を「須磨に渡ってしまう自分の心の糧にしたい」と源氏が言い、受け取る。(すばらしい〜!!せっかく心が通じ合ったのに〜!思わず私も悲しくて泣いてしまいそう‥)
《 暗転 》
源氏の君の家。源氏の君が須磨へ旅立つ日。自分もいっしょに行く用意をして待つ紫の上。入ってきた源氏の君へ「私もいっしょに行きます!!」と源氏に詰め寄る。人払いをした後、源氏の君は「私は今濡れ衣を着せられている。須磨へ行くのは疑惑をくらませる為に自ら決めたのだ。おまえを残していくのは、愛する者を都へ残すことで謀反の気持ちが無いことを証明する為だ。私はこのままでは絶対に終わらない。必ず戻ってくる!」と本当のことを言う。紫の上は「光るの君のお役に立ちとうございます。お志の実る日のために‥」と返事をすると源氏の君は「なんというけなげなこと‥」と二人寄り添って泣く。そこへ頭中将(辰之助)登場。(いや〜ん!せっかく二人のイイトコなのに〜!スッと離れてしまったじゃない!(笑)) 「なんと口惜しいことか!」と源氏の君の身の上を嘆く。(頭中将は右大臣の策略を知っているのね‥)「私達は親友ではないか!」と源氏の君への真っ直ぐな気持ちを伝え、「この世は無常だ。良いことも悪いこともそう長くは続かない」と慰める。(う〜ん‥源氏への熱い思いが伝わってくるわ!)源氏の君は「私は絶望しない!!」と毅然とした態度で花道へと歩いていく。頭中将は後ろを向き、柵に腕をもたらせて庭を眺める。(やるせない!って気持ちが伝わってくるけれど、ここら辺は現代の演出の手法を使おうと辰之助丈が考えたのかしら?)紫の上は花道へと去って行く源氏の君に向かって思わず「光の君様!!!」と呼びかける。(ウルウル‥)頭中将も思わず見るが、クルッと後ろを向いて天を仰ぐ。(辰之助丈!最高!!頭中将の気持ちが手に取るように分かります!)源氏の君は心残りはあるものの、そのまま毅然とした態度で花道へと入っていく。(でも涙を浮かべているのよね〜!)
《 幕 》
ハァ〜‥。美しかった‥。それに、役者の皆さんの演技の迫力にすっかり物語りの中へと引き込まれて、今、自分が本当に源氏物語の世界の中に入ってしまっていたような気がしました。いろいろ言われている演目だったけど、私は“すばらしい!”と思いました。確かに三幕目だけでもこれだけ暗転があるとちょっと気にはなります。これが一幕目、二幕目とずっとこんな感じならばけっこうなストレスになってしまうかも‥。本を読む時も数ページずつ細切れで読むと面白さが薄れてしまいますが、それに似た状態ではないでしょうか。私は特に1時間半を立った状態で見ていたので、暗転してしまうと一瞬舞台への集中力が削がれてしまい、真っ暗な中ただ立っているのは苦痛だし、「足が痛いな〜」とか「あと何分かな〜。腰もツライし座りたいな〜」なんて余計なことを考えてしまいました。でも、これも憧れの演目を見るため!がんばりました!!
全部を通して見ていないので、見た範囲の中での感想ですが、いろいろな所で言われているほど “ダメ〜!” な演目では無いと思いました。細かい所では「うん!?」と思うこともありますが、みなさんも機会があればぜひご覧になってください。(千秋楽も近いのにこんなことをいうのはなんなんですが‥)舞台は生ものなので、自分で見て感じることが一番良いと思います。新三之助の皆様がすばらしかったのはもちろんのこと、脇を固めるお父様方の貫禄、玉三郎丈の深みのある表現、その他どれをとっても歌舞伎が好きで良かった!!と思わずにはいられません。
今回の源氏物語は近年稀に見るほど注目を浴びた演目でした。再演されるときはさらに洗練され、後世に伝えられるほどのすばらしい演目になると信じています。再演されても今回と同じ配役がいいなぁ‥。今度再演されるときは一幕目からちゃんと全部見るぞー!!
夜の部
夜の部は3階B席でゆったり座っての観劇が出来ました。今回もイヤホンガイドのお世話になりながら見ました。チケットを買ったときはまだ3席は残っていたのに、全部埋まっていました。さっき先にチケットを買っておいてよかった‥。売店のお土産などを眺めながら、暑かったので小倉アイス最中を買おうと思って見に行ったら、まだ売っていませんでした。仕方が無いのでおとなしく席へ戻り、「次の休み時間になったら絶対買おう」と心に決め(大げさ??)舞台が始まるのを待ちました。
本朝廿四孝 十種香の内容
「十種香」とは、その名の通り、十種類の香りを当てる遊びのことです。高貴な人々が好んで行ったいわば嗜みのようなものではないでしょうか。このお話に出て来る八重垣姫は、白姫、時姫と並び三姫と言われ、最も難しい役どころです。三姫の中でも八重垣姫は特に難しい役どころだそうです。
簡単な話の内容
敵対している両家の息子と娘は結婚する予定でした。ところが許婚の武田勝頼が顔を見ぬうちに死んでしまったと思っている八重垣姫と、勝頼の身代わりとなり夫が死んでしまった腰元の濡衣が、長尾謙信の家でそれぞれ身の上を嘆いている所へ、勝頼にそっくりな若侍(本物の勝頼)が入って来る。真実を知らない八重垣姫は大胆にも濡衣に仲を取り持つように頼み、若侍が自分はただの使用人だからと突っぱねたり、濡衣が八重垣姫の心を試したり、すったもんだの挙句、若侍が実は勝頼だったことが分かるが、奥から出てきた長尾謙信(八重垣姫の父)が言伝の手紙を勝頼(使用人として)に渡し届けさせ、後から追っ手を追わせて勝頼を殺そうとする。勝頼のことや、濡衣のことまでもすべてをお見通しの謙信の心、真実を隠そうとし、勝頼を守ろうとする濡衣の心、なんとしても生き延びようとする勝頼の心、勝頼に対する恋心を隠さない八重垣姫、それぞれの思いが交差し魅力あふれる演目でした。
舞台展開
季節は秋、丁度去年の11月の今日、勝頼が切腹(本当は濡れ衣の夫)しました。舞台下手の部屋で八重垣姫こと菊之助丈は一度も本人には会わないうちに死んでしまった勝頼のことを思い、生前に書いてもらった勝頼の姿絵を、勝頼を思いながら毎日拝んでいます。頭には吹き輪、赤地に金模様の着物の赤姫の格好で後ろを向いて座っています。
一方、舞台上手の部屋では腰元の濡衣こと玉三郎丈が吹寄せ模様の黒い衣装をまとって、身代わりとなって死んでしまった夫のことを思い嘆いています。そこへ青と赤の組み合わせの裃を着た勝頼(“みのさく”という名前の若侍の使用人の姿。着物はあてがいの物だが、柄が武田家の物を用い、自分は本当は勝頼なんだ!ということを観客に示している)が入って来ます。勝頼が入ってきたことに気づいた濡衣は、夫にそっくりな勝頼に、自分の悲しさを訴えます。(言ったからと言って夫が帰ってくるわけではないけれど、言わずにはいられない!っていう思いが伝わってきます)
誰かが入ってきたことに気づいた八重垣姫は、自分が拝んでいる絵にそっくりな人が居るのに気づき、本物だと思って勝頼のヒザへ駆け寄ります。しかし勝頼は“みのさく”の振りをしたため、八重垣姫は間違えた‥恥ずかしい‥ と畳に「の」の字を書きます。(キャ〜!カ〜ワイイ〜!!)
八重垣姫は濡衣も呼び寄せ、“みのさく”との仲を取り持つように頼みます。(エッ!?オイオイ‥)真っ赤な顔を袖で隠しながらも頼む八重垣姫を見て、濡衣はあまりの大胆さにあきれながら「ご執心なのね?だったら条件を聞いてくれたら取り持ってもいいわよ」と言います。八重垣姫は恥ずかしいながらも「惚れちゃったのよ‥」と言いながら金銀の扇で顔を隠します。(八重垣姫ったら若いのね〜♪)
濡衣は、辺りを気遣いながら「仲を取り持つ条件として武田家と上杉家の争いのもととなった諏訪法性の兜を盗んで!」と言うと、八重垣姫は「え〜!?そんなことするの〜?」と驚きます。“みのさく”(本当は勝頼)の居る部屋には枯れ枝とワカサギが2羽墨絵で描いてあるついたてがあり、「鳥は外から見たらどれも同じ鳥に見えるが、鳥同士ならお互いが分かるわ!」と上着を脱ぎ(決意が感じられる‥)『柱巻の見得』をします。
八重垣姫はそのまま「鳥がお互いのことが分かるように私がみまちがえるはずは無いわ!許婚の私にウソを吐くの?この思いが叶わないなら殺して〜!!」と勝頼にすがりつきます。しかし、勝頼が「自分はただの使用人のみのさくだ!」と突っぱねると、八重垣姫は本物の勝頼だと思い違ってしまったことを恥じて勝頼の刀を取って死のうとします。(感情が激しスギ‥何も死のうとしなくても‥)
濡衣が慌てて止め、八重垣姫の一途な思いに打たれ「会わせてあげましょう。あなたの目の前にいる人が本当の勝頼様です。」と言うと、八重垣姫は「あんまりだわ〜!」と騙されていたことを怒りますが、本物の勝頼と会えた喜びをかみしめます。(チャンチャン♪)濡衣は二人のアツアツ振りに扇を取り出しヒラヒラと自分を扇ぎます。(もぅ〜やってらんないわ!ってカンジ?)
そこへ長尾謙信こと羽左衛門丈登場。濡衣、八重垣姫奥へ入る。勝頼に(使用人のみのさくとして)手紙を渡し、届けさせます。勝頼が花道を渡って引込むと、白須賀六郎こと辰之助丈登場。八方割れの頭(河童のようにてっぺんはハゲていて、周りの毛が爆発しているような髪形)で勇ましい姿です。謙信は、みのさくが本当は勝頼だということを知っているので六郎を刺客として追わせます。六郎は乗り地(バックに流れている三味線の音にあわせてテンポ良くセリフを言うこと)で答え、「喜ばしい知らせを伝えます!」と勝頼を追って花道へ入っていきます。そこへ原小文治こと正之助丈登場。みずいりの頭(チョンマゲをさばいた髪形)で六郎より排他的な印象です。謙信から勝頼を追うように言われると、「勝頼の首を持ってまいります」、と勇ましく駆けて花道へ入っていきます。(謙信ったら一人だけじゃあ足りなくて、二人も刺客を追わせるなんて‥。用意周到っていうか、そんなに殺したいの??)
八重垣姫、濡衣登場。八重垣姫が父である謙信に「どうしたの?」と聞くと謙信は「勝頼を討ちに行った」と返事をします。濡衣の事も見抜いていることが分かり、女である濡衣に対しても厳しく、八重垣姫が勝頼を追おうとするのも止めます。(ヒドイよ〜!!血も涙も無いってこういうことね‥) はたしてこの後の勝頼の運命は‥‥。
堪能しました〜♪ 菊之助丈の八重垣姫のあどけなさ、かわいさ爆発!!新之助丈の勝頼かっこいい〜!!辰之助丈の六郎躍動的〜!!玉三郎丈の濡衣の大人の女っぷり、漂ってくる色気が最高〜!!羽左衛門丈の謙信武士の厳しい生き方が伝わってくる〜!!正之助丈の文治勇ましい〜!!これぞ歌舞伎!!下手にハッピーエンドじゃなくて、この後どうなってしまうんだろう(ハラハラ‥)やっぱり死んじゃうの???なんて、余韻が残るのがいいですよね〜♪
望月 都鳥廓白浪
望月の方は能から持ってきた松羽目物です。囃子方の方々も、役者に敬意を示す為に坂東家の紋をつけた紋付袴です。
都鳥の方はもともとあった隅田川伝説をもとにして作った話です。「さくらもち」という俗称があるそうです。しゃれが効いていて、主役の一人松若丸(傾城花子)は女形も立役も両方できる「兼ねる役者」で無いと演じられません。
今回の観劇記では細かい所まで書いていると読みきれない(特に都鳥の方はほとんどの役柄に裏の顔がいくつもあってとても書ききれません)ぐらいになってしまうので、踊りもすばらしかったし、とっても楽しかった!!!ということだけお伝えして終わりにしたいと思います。
全部読んでくださった方、本当にお疲れ様でした(笑) ソウソウ、小倉アイス最中は休憩時間に買って食べました。サッパリしていておいしかったです。次に歌舞伎座へ行ったときはバニラ最中と、おいしいと評判のおそばを食べてみようと思います。またまた別の楽しみが出来てしまった♪
もし、望月や都鳥もこんなカンジで良いから読みたい!と思った方は(たぶんいらっしゃらないとは思いますが‥(笑))言っていただければ書きます。
2000年 5月19日
みなさんは黄金週間をどのように過ごされたのでしょうか。
この時期になると世の中もすっかりいつもの通りに戻ってしまい、楽しい思い出を作られた方も、毎日の慌ただしい生活の中で時を過ごされていることと思います。
私はなんだか慌ただしい中で、あっという間に過ぎてしまいました。今年は特にめまぐるしかったと思います。未だに團菊祭には行けておりませんし、新しい生活が始まり、日々を大切に‥などと思う暇もありません。なかなかHPの更新も出来ない状態です。楽しみにしてくださっている方々には申し訳ないな‥と思っております。
最近は気候の温暖が激しかったせいなのか、ちょっと体調を崩してしまい(微熱程度ですが、ダルくて体が重いのです)今週は予定していた外出もキャンセルしてしまいました。今回は、どこかへ出かけたわけではないのですが、テレビを見た感想などについて書こうと思います。
先日、東京テレビで、勘九郎親子の番組をやっていました。ご覧になった方もいらっしゃると思います。私は全然知らずに、たまたまテレビをつけていてチャンネルを変えたら始まっていました。先月は、鏡獅子を見ることが出来たので、勘太郎丈の株がぐ〜んとアップしている私としては、ぜひコレは真剣に見なければ!という思いでテレビにかじりついておりました。
いつもこのような番組を見ると、歌舞伎役者の方々は、私が思っている以上に毎日を忙しく過ごされているな‥と思います。公演予定も詰まっていらっしゃいますし、伝統芸能を継承していく上でのご苦労は計り知れないものがあります。立ち止まっている暇も無く、あっという間に毎日が過ぎていくのでしょうね。
今回の番組を見ていて、勘太郎丈の“ひざの調子が悪い”と放送されていましたが、先月私が見た舞台ではそんなことは(当たりまえかもしれませんが)思いもしませんでした。とても躍動的で、見ている私にたくさんのエネルギーが大砲のように打ち込まれる感覚さえ覚えました。 毎日あれだけの激しい動きをされていたのかと思うと、知っていらっしゃった方々はさぞ心配されていたことでしょうね。
前に見た勘九郎親子の番組では、ご子息は確かまだお二人共小学生だったと思います。その頃からお兄ちゃまよりも弟さんの七之助丈の方がおどけて見せたりとひょうきんな印象がありました。その時の番組の中で、鏡の前に座って舞台のお化粧をしてもらっている最中にそのまま眠ってしまって、グラグラした状態のご子息の顔をやり難そうにしていらっしゃる門弟の方の様子がおかしかったのを覚えています。
テレビというのは、日頃私たちが見ることの出来ない歌舞伎役者の日常や、楽屋裏の苦労、人柄がにじみ出るエピソードなど舞台だけでは知りえないものがたくさん映し出されますよね。いろいろな放送局で何組かの歌舞伎役者の番組が放送されていますが、こういう番組をキッカケにもっと歌舞伎を身近に、気軽に見に行くファンが増えればいいな‥。
そのテレビを見ていて思い出したのですが、今年の九月か十月に中村橋之助丈のご子息がお二人とも初舞台の予定だと思います。また新たな世代の幕開けになるのですね。たぶん歌舞伎座での初舞台だと思います。ちょっと先の話ですが、こちらも楽しみですね。
歌舞伎とは関係ないのですが、あと3日で私の誕生日となります。昨日の18日は七之助丈の誕生日、22日は中村吉右衛門丈も誕生日、30日は勘九郎丈の誕生日です。たぶん22日は歌舞伎座に行っている予定なのですが‥。(イヤ、絶対行くぞ!!)この歳になると嬉しいやら悲しいやら‥。また誕生日が来てしまった‥という思いのほうが年々強くなるのはなぜなのでしょう?
そんなことよりも、また今月も歌舞伎座に行ける喜びをかみしめたい!!(現実逃避???)
2000年 5月3日
ゴールデンウィークですね。みなさんはどこかへ 出かけられた or 出かける予定 でしょうか?
とりあえず今年はおおむね晴れる所が多そうですね。私は今のところ特に予定しているわけではないのですが行ってみたい所がいくつかあって、行ければな〜 と思っています。そこらへんの行ってみたいものと、最近の出来事を書いてみますね。
まずなんと言っても「團菊祭」でしょう!!これは外せません。(行ければの話ですが‥)きっと一幕見席も入りきらないほどの人達が詰め掛けることでしょう。いよいよ初日です。これからの一ヶ月はこの話題で持ちきりになるに違いありません!私も夜の部だけでもイイから行きたい!!(がんばるぞ〜 オー!!)
ホテルオークラで大使館婦人達が作るガーデニング(正確な名前はわかりません)という催し物をやるようです。今日の(正確には昨日)テレビでやってました。民放でもやっていたし、NHKでもニュースの中でやってました。なかなか無い企画だし面白そうですよね。
東京ドームで骨董市をやっているようです。なかなか骨董品店に入るのも勇気がいるし、フリーマーケットみたいのだとボッタクられるかも‥ とか思ってしまい、行ったことは無いのですが今回の催し物のように一度にたくさんのお店を見ることが出来るのは魅力ですよね。BSでやっている「なんでも鑑定団」の西洋アンティーク版の番組も好きでよく見ているので、一度こういうのに行ってみたいです。
今日(正確には昨日)NHKで国連難民高等弁務官の緒方貞子氏のインタビューをやっていましたね。先日、私は緒方氏の講演会に行ってきました。その時の話とほぼ変わらない内容だったのですが、講演の時はインタビュー形式ではなく、一時間ほどずっとお話をされていたので、テレビより濃い内容だったと思います。
新宿の高島屋タイムズスクエアにある東京アイマックス・シアターでやっているディズニーの「ファンタジア2000」ご覧になった方はいらっしゃいますか?先日私も見に行きました。昔に作られた「ファンタジア」はビデオで見ましたが、面白いことをやっているなとは思いましたが、それほど人に勧める気にはなりませんでした。人によってはつまらなくて寝てしまうかも‥ と思いました。でも今回の「ファンタジア2000」は奨めます!オモシロイです!私は感動しました。音と映像の融合になっています。アイマックス・シアターは普通の映画館では味わえないような映像が見られてとってもいい場所です。5月7日までやっているので行かれてみてはいかがでしょう。私は5月8日から始まる新作も近々見に行く予定です。
2000年 4月26日
今日は千秋楽でした。
最初は全然見に行く予定ではなかったのに、思わず一幕見席に上がって行ってしまった‥
本当は今日は東京国立博物館 平成館でやっている「日本国宝展」を見た後に銀ブラ(古い‥)して帰る予定でした。それなのにそれなのに‥
国宝展はとてもよかったです。今日は平日だというのにかなりの人出でした。先日、両親が見に行った時は休日だったのでそれこそ「人が山盛り」状態で見るのも一苦労だったらしいです。「これが休日でなくてよかったね〜」 と友達と言いながら見て回ったんだけど、人が大勢いる上に、巻物がたくさんあって、離れた所から見ようとしてもぜんぜん見えるような位置に置いていなくて、人がどいてくれるのを待ちながら見たのですっっっごく時間がかかりました。(約3時間以上 トホホ‥)
でも、いろんな所(京都のお寺だったり、博物館だったり、広島の神社だったり)にある国宝を一度にたくさん見ることはなかなか出来ないので、充実の内容だったと思います。
一番多いのは書跡、典籍、古文書だったのですが、絵画、工芸品、仏像、考古遺物などもたくさんありました。私は個人的には紙本墨画の松林図屏風と尾形光琳の八橋蒔絵螺鈿硯箱が心に残りました。絵葉書も買ってしまいました。
日本国宝展は5月7日までやっているので都合のつく方は行ってみてはいかがでしょうか。たぶんゴールデンウィークで「ゲキ混み」だとは思いますが‥
そして銀座へ移動後、ご飯を食べたり、ショッピングをした後、帰ろうかという時にふと時計を見てみればまだ7:30.「6月公演のチラシもほしいしな〜」などと思ってそのまま友達と別れてチラシをもらうだけのつもりで歌舞伎座へ行くと、ナント、一幕見席の入り口に人が50人ほど並んでいるじゃありませんか!鏡獅子まではまだ30分以上あるのに雨が降っている中外でみなさん待っていらっしゃるのです。それを見た途端「もう口上は終わって演目の途中だろうけど、これは見に入らねば!」と思ってしまい、そのまま4階まで一気に上がってしまいました。
中へ入ってみると、立ち見をしている人がいっぱいいらっしゃるのです!どこに立ったら見えるのか場所を探すぐらいコミコミ状態。「なんだかすごいことになっているなぁ‥」と思いながら3階席の方を何気なく見ると小学生ぐらいの子供達が3階B席の半分ぐらいを占めていました。「いったい今日はなんなんだ?」と思いつつも「鰯売〜」を見ると、勘九郎丈が玉三郎丈のヒザの上で気持ちよさそうに寝ているところでした。(その後、鏡獅子になって座った時に、隣にいらっしゃった叔母様が「あの子達は修学旅行で来てるんですって!明日は横浜に行くそうよ。」と親切に教えてくださいました。毎月必ず見にいらっしゃるそうで、「今日はこの団体が入ったからこんなに混んじゃっているのよね〜。」とおっしゃっていました。)
私が見たところからの話の内容
東国の大名とウソを言っていた勘九郎丈こと猿源氏が寝言で「いわし〜!」なんて鰯売りの掛け声を何回も言ってしまい、玉三郎丈こと蛍火に起こされて「今、寝言で言ったわよねぇ?大名じゃなくてホントは鰯売りじゃなの?」と問われると、四苦八苦しながらなんとかツジツマの合いそうなウソを言って「自分は正真正銘の大名なんだから、鰯売りなわけないじゃ〜ん」と必死にごまかします。すると蛍火は「実は自分は鰯売りの猿源氏を探していたのに、あなたが鰯売りじゃあないのならこのまま死ぬ〜!」と言って猿源氏の持っていた刀で死のうとするのを猿源氏が必死に止めます。猿源氏が「実は自分は大名などではなくて、ほんとうは鰯売りだ」と言っても蛍火は「もうだまされない!」と言って信じてくれないので困り果てているところへ、亭主、海老名なあみだぶつ、博労六郎左衛門が来て、「ほんとうにこの人は鰯売りだよ」と証明してくれます。「それじゃあ晴れて夫婦になろう」とすると、蛍火は遊女なので「多額のお金が必要になるがどうしよう‥」と困っているところへ庭男が来て、「実は私は藪熊次郎太という者で、蛍火は本当は丹鶴城の姫だ。ここにお金を預かってきている。」と言ってお金を差し出します。蛍火こと姫はそのお金を手儀礼金として亭主に渡し、「私はこれから猿源氏と夫婦になって鰯売りとして暮らすからお城には帰らない!」と藪熊次郎太に言い放って、猿源氏といっしょに旅立っていきました。
途中から見たのにとてもわかりやすい内容で、楽しかったです。勘九郎丈はこういうおかしみのある役がハマるなぁと思いました。蛍火との行き違いが無くなって、「両思いになれたー!こんなに美しい絶世の美女が自分といっしょになってくれるー!!」っていううれしさの表現も、子供じみているんだけれどあっけらかんとしていてにくめない、思わず微笑んでしまうようなとても愛嬌のある感じだったし、蛍火が「私はこの人と一緒になるんだからつべこべ言わないの!」と藪熊次郎太と何度もやり取りしている最中も、蛍火が何か言う度に、横で手で床を「ペン!」と叩いて、無言で「そうだよ!あんたちゃんと言われた通りにしなさいよ!」って横やりを入れたりして、無言なのに言いたいことが分かっちゃって思わず笑ってしまいました。笑いのセンスにあふれていて、とにかく勘九郎丈の“間”の取り方が絶妙!!初心者の方なんかは分かりやすいし楽めるんじゃないかな〜と思いました。(終わってしまってからこんなことを書いてももう遅いですね‥)
それと、玉三郎丈きれいでした〜!!勘九郎丈との息もピッタリ!まじめに言っているセリフがおかしく聞こえてしまうんだから不思議ですよね〜。あと、この物語の名前、“遊女と鰯売りの実は‥実は‥物語”なんてのはどうでしょう?私が見始めたところからだと余計にそんなことが頭に浮かんでしまう‥(みなさまごめんなさい!悪意は無いんです〜 ペコリ)
鏡獅子は、“大きくなった勘太郎丈が見られるのね!”と思いながら見ていました。私の覚えている勘太郎丈の姿はまだ小学生でした。それが女形も踊って獅子の精も舞う姿を見て“月日が経つのは早いな〜”なんて考えてしまいました。それだけ私がろくろく歌舞伎を見に行っていないということなのね‥。ちょっと反省。
見た感想は、女形を踊っている時はちょっと体の動きがカタイかも‥ でもとても丁寧に踊っていらっしゃってずいぶんお稽古されたんだろうなと感じました。手の動きがとても滑らかでやわらかくて、一生懸命踊っていらっしゃる気持ちが伝わってきました。
獅子の精になって花道から出てきた時は、客席の雰囲気がフワッと浮上したように感じました。みんな期待しているんだな〜と思いました。舞台に立ってからがすごかった!!なにがすごいってあのあふれ出るパワーというか、若さがもたらす迫力、躍動感を感じました。年を取った人では出せないフレッシュな印象と集中力の高さが4階にいる私にもビンビン伝わってきました。
見ている間中ずっとワクワクしていて、目がはなせない!っていう状態でした。すごく華があると思ったし、これからの勘太郎丈がとっても楽しみ!やっぱり見に行ってよかった!!